【映画】検察側の罪人
松倉を絞めあげる尋問シーン良かったですね。
松倉を演じた酒向芳さん(Wikipedia見ないと名前の読み方分からなかった…)の怪演が素晴らしく、強姦殺人を思い出しながら興奮していく様なんかウワこういう奴…見たことある〜!!ってなりました。実際には幸運な事にそこまでの犯罪者と直面したことはないですが。
二宮さんが怒声で超最低の犯罪者を人格攻撃していくところ、ちょっと気持ちよくすらなりました。ちゃんとした嵐ファンでもないのに勝手に語るのもアレですが、ああいう演技をしてくれるのは推す甲斐がありそうです。
そして木村拓哉さんが演じている検事、本当にカッコよくない……!笑
この人がカッコよくない男を演じると余計に腹立つ感じしてすごい。
だってこいつ新人とかにめちゃくちゃかっこつけて理想論語るばっかで作中では何ひとつ実現できてないし、家族とも何も対話できてないし殺しの後に車をダメにするポカもするし、意味不明な動機で手を貸してくれたりフォローしてくれたりする諏訪部がいなきゃ何も出来なかった男ですよ。
諏訪部が助力する理由は要するに惚れ込んでるって事だし、これ無償で尽くしてくれるヒロインにべったりのヒーローっていうどうしようもない構図だ!
カッコ悪い男に憧れてしまった男を演じきった二宮さん、なんか目が常にウルウルしてたり目元が泣いた後のように赤く染まっていたり、幸薄い男の役がよく似合うと思います。
泣き女とか明らかにアパホテルっぽいところから飛び降りてたりとか戦争責任とか、やたら思想の強さを感じましたがあの辺はだいたい映画オリジナルの部分らしいですね。大丈夫なんでしょうか。
あと原作小説ではここが絶対に面白い所だったよね?っていう松倉の裁判が見事に巻きで流されていきましたねw
最後に出てきた山崎努さんとかも何の役かさっぱりわかりなかった、弁護士団の1人ってわかる訳ないよ!そこは最初の嫁が怖そうな人だけでよかった…(笑)
吉高さんとの濡れ場もそこいる?って感じだったけど、体位の謎さがちょっと面白かったですね。しかもベッドまだあったと思うけど結局床なの?っていう。
あと、どう頑張っても聞き取れないセリフがあった!葬儀のシーンとか何回巻き戻しても何言ってるか全然分からん!
こういう時の為に邦画でも字幕を見られる機能があればいいんですけど、すべてにある訳じゃないですよね。でもDVDで観るとだいたい収録されてたりするしどうなんだろう、その辺りも商権のナニカがあるんでしょうか。
ラストの長い苦しみが残る感じは嫌いじゃないです。拳銃自殺でもしてそうな引きでしたが直前に手に取ってたのは祖父のハーモニカ?
でもここも小説と違ってて最上の迎える結末は別のようですね。そっちも目にしたい。
【映画】すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ
すみっコぐらしについてはサンリオではなくサンエックスであることと、グッズが文房具中心なので子供が手に入れやすそうなところが良いなあとかそのぐらいしか無かった。
正直それほどぱっと見で惹かれていた訳でもなかったけど、映画の中でちっちゃくワラワラと動いているところを見ていたらすっかり愛着がわいた。
とんかつとえびふらいのしっぽが1番好き。しっぽが犬っぽくうろちょろしてるのが可愛い。
私は肉の脂身の部分が好きだしエビフライのしっぽもそのまま食べるタイプなので、フーン私が残さずく食らいつくしてあげるのに、と最初は思っていたが徐々にちょっと待てよ、という気分になっていった。あの2人の意識のありどころはどうなってるんだ?
たぴおか辺りは個の意識が薄そうだしダウナーだからあんまりなんだけど、このコンビは食べてもらう事が最大の幸福だと捉えていて、仲間とはぐれている非常事態でも捕食者を見つけたらなりふりかまわず食べられる事に全力を注いで、このコンビは自分たちの意識がいつどこで絶えようともそれを望んでいるって事ですよね。怖すぎてそれは当然狼も逃げ出す。
というか1番最初にすみっコたちが腹を空かせ始めた辺りで、エッ!!こいつらもの食べるんだ!!それなのにとんかつとえびふらいのしっぽは食べ物として捉えられないんだ!!という衝撃があり、つまりそれってすみっコ同士での救済とか関係の帰結を求めていないって事なのだろうか。
彼ら(?)が食べられたいと願うのは狼のようなゆきずりの捕食者だとか、1番初めに自分たちを食べ残した人間のような存在で……情を求めてなさそうなのがハードボイルドだ……。
過去にクレヨンしんちゃんのカスカベボーイズにめちゃくちゃ涙したので今作のクライマックスもたまらなかった。
しれっと絵本の世界に向けて生命を誕生させて放つのがうっすらおっかなくもあったが、それでも泣いてしまう……また友達に会えてよかったね……。
【映画】怪怪怪怪物!
お前らが怪物。
いじめられっ子が怪物と心を通わせ復讐を遂げる物語……かと思いきや天地ほどの差があった。
見るからに貧しい小売店の老婆が浮浪者に冷水を浴びせる、弱いものが弱いものを叩くイヤーなシーンからこの映画は始まる。
この構図は主人公自身が引き継いでおり、いじめっ子たちが痴呆症の老人をいたぶる片棒を担ぐ事で溜飲を下げ仲間意識を生み出すストレスタイムがずっと続く。
蓄積される鬱憤は化け物による暴力で晴らされるのかと思いきやその時は一向に訪れず最後まで突き通される。
どう見ても人喰いの化け物より高校生の方が怖い。素行不良の域を超えて実録監禁暴行致死事件を起こしているし、ボスが主人公に仲間意識を持たせるやり方がすごく嫌らしく生々しくていっそ突き抜けている。
給食の汁碗のくだり、もう1人のいじめっ子の分を捨てたあたりで「あっ、そういう救済の真似事ですね?」と思ったが、直接映ってはいなかったもののどう考えても巻き添えを喰らって死んでるよね?
老人たちが暮らす雑居ビルも全焼してそうだし(そもそもあんな所学生に行かせるボランティアある?)、痴呆症の老人はそこで死ぬんだろうし、もうそこかしこでボヤ騒ぎも起こってそうだし、教師を筆頭に警察などのセーフティネットも完全に機能しないこの世界、まったく救いがない……
何もかも燃えて欲しいと願う学生時代のありがちな妄想が本当に具現化してしまった結末だった。
中盤でほんの一瞬青春のようなシーンが挟まっていただけに、容赦のない全滅がコントラストのように際立つ。
ところで、主演俳優は綺麗どころ過ぎやしないか?クラス内の学生たちの肌の白さが一様に目立っていたがダントツにルックスがいいため、なんか絵面としての惨めさはなかった。
担任の先生もあんな嫌な役なのに美人だったし。そういうバランス感覚(?)なのだろうか。
【映画】スパイダーマン:ホームカミング
全編通して「トニー・スタークが全部悪いのでは?」としか思えなかった。
15歳の少年に強大な力を与えておきながら日頃の監督は放棄し「プログラムで制御していました。でも高校生に解除されてしまいました」が通るわけもなく、発明家ではあってもシステム管理分野には一切触れていなかったんだろうなと伺わされるセキュリティリスクの甘さ。
ピーターの学園生活については何故かギーグがクイーンビーに相手してもらえる、よくある物語のため特に思うところはなかった。多分作り手側も学園ドラマへの興味はなかったのではないか。
悪役も元を辿れば成り立ちにトニーが関わっているため、倒したところで今ひとつスッキリせず、リズの人生を破壊した後味の悪さだけが残る……ウイングスーツのデザインはトゥームスのロマンを感じさせて良いと思うけれども。
とにかくトニー・スタークへのヘイト値を意図的に稼いでいるのではないかと思わせられるような話だったけれど、トム・ホランドの可愛さで楽しむ事は出来た。
また色んな顔をするトム・ホランドを目にしたいので、続編も見るかもしれない。
【映画】ラッキー
程よく穏やかな映画を観たいと思いAmazonプライムを眺めていたら、過不足なくピタリと求めていたものにいき当たった。
こんな老後を送れる人間はそういない。
最適な暮らしに馴染んだ家があり、自分の足で歩ける元気な体があり、行きつけの店があり、楽しみにしていることがあり、言葉を交わす人がいる。
仮に自分が老いるまで生きたとして、そんな暮らしを送ることが出来るだろうか。まったく想像がつかない。
煩わしいものに振り回されないラッキーの暮らしは一種の理想像だ。クライマックスの酒場の演説シーンにその色が強い。いったい世界のどこに、酔っ払いの老人の演説に真剣に耳を傾けて盃を掲げ涙を流してくれる酒場があるのだろう。
健常な身体を含めかなり恵まれた生活を送るラッキーだがそれでも死の影には怯える。
そこが良かったと思う。自分の運命を悟り座して待つありきたりな老人像ではなく、死を恐れ静かな夜を遠ざけたがる男。
これから先の未来が待つ子供の誕生会での心情を思うと、朗らかなシーンではあったが泣けてしまった。
弁護士と和解するシーンも良い。
ラッキーと主演俳優の元海軍·調理師という経歴がおなじという事は、やはりこの映画を遺作と定めて臨んだのだろうか。むしろ遺作を撮るべくこの映画が生まれたのだろうか?
コーヒーを飲み干してから眠りたくなる作品だった。
【映画】アシュラ
結末が悲惨な物語を目の当たりすると「あそこで違う判断が出来ていれば…!」と嘆くことが観客にとってのカタルシスに繋がったりするのだが、この映画だと引き返せる場面というのがいまいち思い浮かばない。
開幕から市長とズブズブの癒着をやっているどうしようも無い主人公だが、どうしようも無い相手といざこざを起こしてしまい話はさらに酷い方向に転がっていく。
余命わずかの妻を抱えている、一見もっともらしい背景もあるが妻の言葉からすると元々良い夫ではなかったのだろう。
悪化していく状況を打破できるような知恵が回らず、なんとか抵抗の一手として打ち出したタイマン(しかし自分は参加しないところが小物で素晴らしい)で最悪の地獄を生み出していく様は哀れだが、完全に自業自得なのでその辺りは湿っぽくない。
市長役はめちゃくちゃハマっていた。
なんら信頼のおけない悪人でありつつ、下半身丸出しで人を恫喝したり半分履きかけの下着を他人に上げてもらいながらそのテンションを続行させるような、嫌な場面の筈が笑わされてしまう存在感が良かった。
しかし、体調が万全ではない状態で視聴したのもあるが、あまりにも血生臭い余韻にだいぶ疲れてしまった。
バイオレンスは心身ともに健康な状態で向き合うべきジャンルだと思う。
【映画】スイス・アーミー・マン
中島らも著「ロカ」は老いてなお破天荒な主人公を描く小説だが作者の急逝により未完のまま発表されている。
作品の中にこんな歌が出てくる。
「いいんだぜ いいんだぜ
君が鬱病でも 統合失調症でも
脅迫ノイローゼでも
どんなキチガイでも
いいんだぜ いいんだぜ
(中略)
おれがアル中でも 躁鬱病でも
おれが阿呆でも おれが何者でも
いいんだぜ いいんだぜ」
予告編が話題になった頃から、水死体を相手にいったいどういった物語が展開されるのだろうと気になっていたが、まず無人島を出ることがオープニングだった。
この無人島のくだりは明らかに妄想だ。
波間を漂うゴミにびっしりと書き込まれた言葉がいかにも象徴的で、四方を海で囲まれた島はそのままハンクの心象風景だと思う。
おそらくハンクは最初からあの山奥で自殺を遂げようとしていたのだろう。
ごちゃごちゃとゴミを拾うくだりで服や雑誌が落ちていたのはおそらく自殺者の遺品ではないだろうか。富士の樹海のような名所だったのかもしれない。
終盤でメニーも橋から身を投げたと推測されている。たぶん2人がキスをしたあの川で死んでいたのだろう。
水を吸っているぶん重量も重くなり、持ち運びができない程に腐敗が進むのも早いだろうため、実際は1~2日ほどの間の密度の濃い妄想の物語だったのかもしれない。
ストーキングや死体遺棄などやりつつ、ハンクが救われたためにこの映画はほろ苦いハッピーエンドで終わる。
健常な他者からの視点では、メニーはもっとボロボロで酷い状態の死体だったかもしれない。
ハンクが自分自身に「いいんだぜ」と言ったからこそ、完全な姿のメニーに赦され、人前で放尿もできるようになったのだろう。






